相続した農地を売却してまで渡仏、破天荒な生き方をした軌外。 当時フランスには、佐伯祐三、里見勝蔵、硲伊之助らがいたが、 ルノワール、シャガール、ロート他、美術史に残る画家たちに出会い、 多感に影響を受けながら絶えず変転して自己を確立する。 帰国後、美術界に刮目(かつもく)に値する抽象的構成を紹介した功績も大きい。 郷里、和歌山では指導的な存在として洋画壇を牽引し、その流れは現代までも繋がっている。 一方、吉田政次も吉備町の出身、恩地幸四郎の画論に共鳴して油彩から版画に転向、 端正な感動する木版を残し激しく夭折した惜しむべき作家。 今展は当画廊が顕彰する郷土作家の中から、この二作家を展覧いたします。 ご高覧の程お待ち申し上げます。
川口軌外 「静物(コンポジション)」 油彩10号
川口軌外 「器の花」 油彩10号
吉田政次 「躍動する心 5」 1968年 木版 58×48cm
吉田政次 「地の泉 1」 1956年 木版 57×83,5cm